ブルースカイ:桜庭 一樹
(サイドバーの「読んだもの」より移動)
-
桜庭 一樹 著: ブルースカイ
個人的な問題意識での『宇宙の戦士』→『戦闘妖精・雪風』→『ほしのこえ』と醸成されて来たテーマのその先を描いてくれるのじゃないかと「第一の箱庭」(というかP177とP178の間あたり)を読んだ時点では期待してしまったのですが50マイルズオーヴァーには遥かに届かず260m行ったくらいで終わってしまい残念。が、これは期待の方が大きすぎ無茶すぎ。客観的に見れば良い作品だと思います。物語とキャラクターのあたりで拘泥している世間一般から比べれば遥かに飛翔できていますし。
先に『少女には向かない職業』を『推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の文脈で読んでしまい「退化」だと思ってしまい酷評してしまいましたが。表紙から見てもアレはこちらとセットで見るべき作品のよう。つまり『少女には向かない職業』で現代を支配する良心的視点を描き、この『ブルースカイ』でそれを相対化して虚無を見せた。少女を描く名手としての実力を武器から基盤に換えて零から挑んだ(著者にとっての)新境地の開拓、そのための整理と素材の羅列がこの2作品の役目なのでしょう。今後に期待。 2005年10月18日 (★★★)