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2007年8月11日

バトルフィールドは空騒ぎ! ~週末の旅団~

この巻ではまだ「空騒ぎ」の段階ですが、興味深い作品。

MMORPG みたいな枠組みの中で Counter-Strike っぽいチーム対戦型オンライン FPS する話。対戦といってもPCの身体能力や武器の技量、所持金や所持品はそのキャラクターが死なない限り後の対戦へも持ち越されるので(プレイヤーの技量以前の部分で)公平な条件での対戦ではないゲーム設定。そこらへんは似たような設定の『スラムオンライン』と違うところ。まあ『スラムオンライン』とはそれ以前に一対一のタイマンチーム戦か、格闘射撃かというあたりで違っているわけですけれども。しかしそういった作中ゲームでのセッティングの差よりも、作品としての最大の違いはプレイヤーの顔が見えるかどうかというあたり。

RPGリプレイに良くあるような「プレイヤーが演技している様子を描く」のでも『ドラゴンランス』のような「プレイによって作られた物語を描く」RPGリプレイ小説でもなくPCのやり取りのみを描いています。主人公始めとして登場人物は皆ゲーム中の様子のみが描かれ中の人の姿は描かれません。年齢性別も不明。実は人間で無いのかどうかも不明。ただ(実際に MMORPG 等をやった事のある人なら分かるように)なりきりで演技するわけではないので「ゲームのプレイ」としか言いようの無い感覚。こういう小説が出てくるあたり日本でのロールプレイングの受容も成熟したなぁ、と感慨深いです。(演劇などの創作のアナロジーで語られてしまう事が多かったですし)

このように、キャラクターに現れる行動と思考のみに制限して描いているため、主人公ブリッツの「不殺」を始めとした各キャラクター(の裏に居るプレイヤー)の行動哲学が直に浮かび上がり、単なる個性付けの域を超え哲学のせめぎ合いを提示出来ています。登場キャラがかなり多い作品なので下手すると『8ガールズ オデッセイ』みたく各キャラの個性と歴史を描いて以上、になりかねない所をその「PCとしての行動のみを追う」という制約のせいで(題材がゲームとしてのバトルなのとも相まって)個性と主義のせめぎ合いに注力できている。

バトル物と仮想ネタと現代戦ネタの美味い所を上手くすくい取った絶妙の設定ですね。ゲームプレイ上の不利をもかえりみず、姉が身をもって守った欠損した身体に拘る双子の妹コットンと、兄の死に安易に殉じてリセットしようとする双子狙撃手矛盾ブロス弟との対比とかはこの設定ならでは、ですし。(死に重みの無いゲームだからこそ描ける死の意味)

設定上の趣向はともかく。今後気になるのはやはりメインヒロイン(というより第2主人公)のハナの恋の行方でしょうか。ブリッツ中の人の年齢性別も定かでないのにどうするんだろう……。(ハナ&コットンの方はリアルでも姉妹っぽい感じだけどね)

しかし、どうでもいいけどコーラで酔っぱらうのがこのゲームでのロールプレイの作法なのだろうか? つーか、そもそも酒は無いのかもしれないな。

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