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2007年6月23日

十八時の音楽浴 漆黒のアネット:海野 十三, ゆずはら としゆき

十八時の音楽浴
試作品少女
果しなき流れの果に

海野十三目当てで読んだので、著者が既読の試作品少女ペンデルトーンズの人だとは、読み終わってこれ書くために調べてみるまで気付かなかった。下世話なロマンチシズムをヒロイン(へ)の執着に託した奇想への浸り込み。この著者ならこの内容にも納得。

  • 火葬国風景 「モダン日本」昭和12年4月増刊
  • 十八時の音楽浴 「帝都日日新聞」昭和10年連載

という二・二六事件やらの頃の昭和初期作品をベースにして、果しなき流れの果に(小松左京)を思わせる外枠を与え作り直されたリメイク品。素材は借り物ですがそれがゆずはらとしゆき自身の問題意識でまとめ直されているため、ちゃんとゆずはらとしゆき作品になっています。というかゆずはらとしゆきオリジナル作品より密度が高い分より良質のゆずはらとしゆき作品になっているような。素材の選択の段階から著者に任されているが故ですね。

まだSF等の変格小説のアイデアが目新しかった頃の作品を新人作家にリメイクさせるというこういう試みは、新人が最初から 「学園を日常の象徴として、そこに異世界のファンタジーな要素を足していくといいよ」(あとがき p249) 的な萎縮に陥りがちな現状に対して相対化した視点を持たせるという作者サイドのためにも、そして現代的エンターテイメントのルーツに触れる機会を作るという読者サイドのためにも、有意義な試みだと思います。次の「跳訳」にも期待です。

……つーか、ぜひいっぺん中村九郎にやらせてください。お願いだから。

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