ライトノベルの新人賞での選考委員の意義
多分、意図して外したのだとは思うのですが選考委員が興味深いので定金伸治、村山由佳、小川一水、乙一、城崎火也、松原真琴といったあたりを輩出している『ジャンプ小説大賞』追加しておきます。
レーベル名 | 選考委員 |
---|---|
ジャンプ j-BOOKS | 大沢在昌 栗本薫 高橋三千綱 j-BOOKS編集長 |
で、選考委員の役割なんですが。
・優れた作品を作家的視点や批評家的視点でもって選出する。
・秘めたちからを持つアマチュア作家を惹きつける魅力を放っている。
・実際に刊行する際に帯にコメントを寄せるなどして販売力の促進を図る。
特に大きいのは3つ目かなと思います。新人賞の受賞作の帯にはたいてい「選考委員絶賛!」という文字が躍り、その近くに選考委員によるキャッチフレーズが列なっているようなイメージがあります。
どれもあんまり関係ないような。
実際のところ、最終選考にノミネートされるのは数百の中から厳選された数作で、最終選考にまで残った投稿者からは受賞に至らなかった人も作家デビューされる事も多いですし。最終選考は形式上のもの、という気がします。(つまり最終選考の時点ではどれが受賞してもあまり変わらないし、それ以前の選考にはそもそも選考委員は関わらない)
選考委員がアマチュア作家を惹きつける、というのも痛し痒しで、実際はその選考委員に憧れる人はその人の亜流に陥りやすく、そして自分の亜流なんぞ賞に推す選考委員は居ないわけで……。
最後のですが。ワナビーではなく消費者でしかない読者は、賞の受賞についてはともかく選考委員の選評なんて気にしないのじゃないかな。そもそもそういった受賞のプロセス自体には興味も無いでしょう。実際、第12回電撃大賞《銀賞》受賞作『狼と香辛料』の帯には選考委員の安田均氏のものと同時に、同レーベルでの著作の多数ある(とはいえ受賞は無しの)谷川流氏のコメントが載っていましたが、読者にアピールの強いのは谷川氏の方の気がする。(というか今の十代にはもはや「安田均って誰?」だと思うし)
では、選考委員の意義とは何かと言うと。
結局のところ権威付け、じゃないかな。
編集部だけで選ぶと単なる投稿と変わりない(というかリストにも挙げられているGA文庫のそれが、新人賞ではなく単なる投稿で、締め切りも賞金も無し)わけで。何かの神輿を上げておかないと格好が付かない。選考委員を務める作家の方も、箔が付くから(ライトノベル文壇での影響力を気にする類いの人なら)労力を裂く甲斐がある。
また、賞である以上どのみち選評は書かなくてはならないわけで。単なる編集者よりも作家の方が、ものを書くのは本業なので都合がいい、というわりとどうでもいい理由もあるかも。
もちろん、HJ文庫の新人賞における五代ゆう&榊一郎両氏のようにサポート誌に小説指南の連載を載せているような人もいますからそれ以上の存在である選考委員もいるでしょうが。逆に言えば、単に選考委員である、というだけの人は単なる箔付け以上の意味はないと思えます。
まあ、デビュー後の人間関係とか色々とありますから、作家当人にとって「誰が選考委員か」は重大な事ではあるでしょうけれども。(主に人格面で)
選考委員の意義についてはともかく。
各賞の選考委員の顔ぶれを見ると、MF文庫Jでの桑島由一&清水マリコなエロゲーライター両氏が目立ちますね。他でもスニーカーのでじたろう氏とか、そして話題のガガガ文庫の田中ロミオ氏。
ライトノベル自体が(特に男子向け)コンシューマ&アナログゲームRPGを背景としていた「ファンタジア文庫」からエロゲー原画家緒方剛志氏を起用した『ブギーポップは笑わない』で伸びた「電撃文庫」が主流になり。そしてこれからはエロゲー原画家のみならずエロゲーライターの時代、となりつつあるのかもしれません。
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