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2007年8月 2日

たま◇なま ~生物は、何故死なない?~

「あの女と私、交尾をしたいのはどっちだ」

良作。色々な意味でむかむかする話ではありましたが。

第1回ノベルジャパン大賞〈大賞〉受賞作。話は、

「そこいらの石ころとひたすら対話する物語」(あとがき より)

の一言で済むわけですが、その問いが どうせ死ぬのに、なんで生きてるんだお前ら という代物なので、深刻。そんな一歩間違わずとも「中二病」の一言で切り捨てられてしまうテーマを、石ころ(仮名:紅由宇(くれない ゆう))を素直クールな萌えキャラに、そして主人公氷見透(ひみ とおる)以上に深刻な境遇なのに前向きに立ち向かう彼女不破灯璃(ふわ あかり)と、主人公自身の駄目さ加減を更に突き詰めた敵役卑口隆志(ひぐち たかし)を配する事で客観性を持たせたエンターテイメントに仕立てています。

「以前に、言ったよな。『生物は、何故、死なないのか』。私には、分かったよ。
 何故、お前らは、四十億年も、生き続けてきたのか。
 何故、私達は、たったの三億年で、『死にたく』なってしまったのか。
 お前らが、何の為に生きて、そして、どこへ行こうとしているのか。
 私は、……お前に、その答えを、教わったのだ」(p275)

敵役との決着が他者に取られてしまったのと、由宇灯璃との三角関係が灯璃の側のマンガちっくな反応のせいでごまかされてしまっているのには不満がありますが、そのおかげでテーマがぶれずに突き詰められているとも言えますし。ここらへんは今後に期待です。

きさま……私の

つがいに、なれ

全人類の命運をかけたお茶の間バトル!

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