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2007年8月16日

彼女はQ〈クイーン〉

プロローグでのインディアン・ポーカーの描写は良かったのですが……。

女皇の帝国』『8ガールズ オデッセイ』に続けて吉田親司祭り中。3冊読んだらこの作者の特徴が掴めてきた感じ。3作とも

  1. 主人公達の行動原理
  2. 陥るシチュエーション
  3. 世界全体で提示される問題

の3つがミスマッチを起こしている感じ。週単位月単位で分載されるマンガ/アニメやそれを引きずった昔のライトノベルならそれでもかまわないのだろうけれども、今のライトノベルだとそれは致命的なような。

今作だと特に、主人公達の超絶能力が 2.ギャンブル対決というこの作品の根幹になっているギミックを安いものにしてしまっているので、その代わりとして登場人物相互の心のふれあいによるその変化の描写が重要になってくるはずなのですが、1. の主人公達の心理が最初から最後までほとんど変化無し。かといって 3. での世界の都合側を代表する(元アメリカ副大統領の)校長はあまりにミニマムな問題にせせこましい手段で干渉するだけのただの悪役になりさがっているし。

(ギャンブル勝負じゃなくて別の方の)同ネタ作品でも最近の新人による『たま◇なま』あたりは無論、古株作家による『グロリアスドーン』なんかでもそこらへんは外していないので、外している(というか考慮もしていない)こういう作品を読むと違いが気になります。

というかこの作品の場合、主人公達の超能力と世界(宇宙)の側の事情は抜きにした方が作者の得意な構築力が生きたのじゃないかな。今のままだと突っ込み所を増やし勝負を安くする役にしか立っていないし。あとこの世界に生きる事を嫌っている主人公灰谷亜美夏(はいたにあみか)の心理はもっと掘り下げた方が良かったような。彼女個人の内部での辻褄については(何せああいう背景のキャラだし)ともかく、作品としては「主人公に否定されている世界」というのは重要な事だし。

ゲームの天才、
それが彼女だ

静かな戦いがある。たった一枚の札で
奈落の底に突き落とされることもある戦いが――。

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