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2007年8月 3日

ミミズクと夜の王

というわけで 8月5日(日曜日)にトークイベントだそうなので近在のファンの方はどうでしょうか。まあ文芸館主宰の文化イベントだから良い子のみんなと混ざるとイタイ感じになる大きなお友達とかは遠慮した方がいいのかもしれませんけれども。

というわけで、児童文学寄りの風情のある、第13電撃小説大賞大賞〉受賞作。先に開催された2007年上半期ライトノベルサイト杯新人・新作部門」で 2位を獲っていたのも記憶に新しい所。

前半の「泣ける」部分と後半の「泣かせる」展開の、一見雑に見えて深いものを孕んだ接合が巧妙。

「主人殺し」の経験で退行してしまった奴隷少女ミミズクの生の回復の物語なわけだけれども、その「主人の入れ替え」を物語の始まる前と、物語で描かれる部分と反復させ、彼女の過去の図太く逞しい生を直接描く事無く暗示させている。その彼女の図太さ逞しさが、生から切り離された存在である(この物語の真の「ヒロイン」達である)王子クローディアスと、そして「夜の王」フクロウ――彼は名前すら彼女に貰った――を回復させる。

「オリエッタは、どうして、自由になったのに、どこにも行かなかったの?」
(中略)
どこにも行かないのも、自由の選択肢の一つではなくて?」(p218)

気の置けない友人関係だったはずのレッドアーク国国王と聖騎士アン・デュークの間に生じた亀裂は、ミミズクが退行する原因となった「村」の主人の暴力的交代(そしてそれのミミズクによる意図せぬ拒否)を反復させるもの。絶対的な父性を象徴する彼等の陥った危機において、今度こそは彼等の企てを「正しく」阻み、そして彼等の庇護は否定し自らが推戴する「夜の王」を選び取る。

表紙のイラストはフクロウが、全てを終え「夜の王」の王国の一員となったミミズクを彼の愛する森=王国と共に描いたもの、という見立てなのでしょう。ライトノベルとは要するに「イラスト+小説」なわけですが、それでもここまで内容に食い込んだイラストというのも珍しいかも。

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