原潜迎撃
8月6日は原爆記念の日(合掌)
現実の歴史では核戦争は起こらず核兵器の実戦使用は(今のところ)所有者から非所有者への一方的使用のみに留まったわけですが、有るものは使われる可能性があるわけで。実際に使用された時にどんな様相になるのか……とはいえこれは良くあるハルマゲドン・テーマのそれでなく、現代での真の主力艦である原潜での核兵器の撃ち合いを描くもの。
第二次世界大戦頃において主力艦であった空母は単なる的に成り下がり、的にならず位置を秘匿できるのは深海へ潜み続ける事の出来る原潜のみの現代。合衆国ステルス原潜〈チャレンジャー〉とそれに相対する南アフリカの原潜〈フォールトレッカー〉との宿命の対決を描くというもの。潜水艦戦のみならず SEAL としての細菌兵器研究所潜入破壊工作もあります。著者の専門を生かし原子力と海洋の深い知識に基づく緻密な沿海潜入作戦描写とダイナミックな3次元深海戦。圧巻です。
まあ描かれる戦争の政治的状況はリアリティーよりも「敵として描いて不都合が無さそう」な事を優先して――実際の軍隊と付き合いのある立場としては当然の政治的配慮ですが――いるきらいもありますが。「技術的に有り得る」戦争を描いた海洋冒険物として優れた作品です。
「正義の側」の主人公サイドよりも、敵艦〈フォールトレッカー〉でいかにもな悪役艦長の下に付くカウンター・バランス役な副長に心が引かれるのは、1つ違えれば同じ立場にされかねない敗戦国属国な日本に住む人間だからなのかも。正義は恐ろしいね。色々な意味で。
- 著者: ジョー・パフ(Joe Buff) JoeBuff.Com: Joe Buff's Deep Sound Channel, A Novel
- 翻訳: 上野元美 インタビュー
- カバーイラストレーション: 桑原大介
- ブックデザイン: 鈴木成一デザイン室 NHK プロフェッショナル 仕事の流儀
- 出版: ヴィレッジブックス 紹介
- Wikipedia, 西村屋
帯
全米で話題騒然の
軍事アクションの新鋭登場2011年
米海軍の
最新鋭ステルス原潜が
密命を帯びて
インド洋に出撃!!核戦争勃発!
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