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2007年8月 8日

8ガールズ オデッセイ

Oh my God! —it's full of stars!

2001: A Space Odyssey

石ころの次は座敷童だよ。

跳訳で『海底軍艦』やりたいとか言ってる吉田親司氏。『女皇の帝国』がいい感じだったのでこれも読んでみました。

……うーん。せっかくのキャラ達が生かせてない。

仮想戦記批判性SF論理的整合性の芸術ならば、現代のライトノベルのそれは主体者性になるでしょうか。そしてこれにはその主体者性が決定的に足りない。そこらへん先の『たま◇なま』『ミミズクと夜の王』といった、これと同様の異種コンタクト物の、ライトノベル新人賞受賞作群とは対照的です。

これは結局の所「お荷物が生き残れるかどうか」という話でしかなく、そしてその生存はプロローグの段階で決定してしまっている。後は単なる設定開示があるばかり。SFとしての荒(志願者が万単位で居るのになんでそれを差し置いて無知な人間ばかりでクルーを組むの? 現代の宇宙船にも当たり前にある「直接外を覗ける窓」がどこにも無い事に誰も疑問を挟まないのは何故?)はありますが、それ以前の問題でお話としてコケてしまっている。そのせいでSF/仮想戦記譲りの歴史批判も物語においては単なる蛇足のパロディーにしかなり得ていません。

とはいえその、日清日露から日中太平洋戦争、そして敗戦から北朝鮮への日本人妻を従う帰国事業あたりまでの歴史への批判部分がかろうじて読むに値する部分になり得ていますが。それにしても、それに対して7人の少女達は欺瞞に踊らされていたという程度の関係しか持たないです。その 7人+1 の「ゆきてかえりし物語」こそが本当に語られるべき部分だったと思うのだけれども、これでは彼女らは単なる狂言回しの立場。(そして他の 2人については言わずもがな)

MMORPGRTS の現代に、吟遊詩人型おつかいRPG のロジックでしか作られていない小説は辛いです。

女だらけ(エイトガールズ)の宇宙船内に乗り込んでいた

「いるはずのない
 少年

はたして
彼の目的は!?

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