バカバカRPGをかたる:友野 詳
バカ話としてアホな未訳(テーブルトーク)RPGを語りまくるこの1冊。楽しいね。オマケとして
- スペシャル・バカ
- スレイヤーズd20リプレイ
「驚愕! 温泉宿に地獄を見た!」 - おまけバカRPG
- ワールド・オブ・101アビリティ
付き。まあスレイヤーズd20の方はあの原作者呼んで来たらどんなシステムでもバカRPGになるだろうなぁ。ワールド・オブ・101アビリティの方は「それ何てAの魔法陣?」てなもん。本文の内容自体については、元がイベントでのダベリングという事で「あはははは」と笑って流せばそれでいいだけのバカ話。
それはともかく。もし続編が出るなら。
RPGの歴史において、最初はバカとしか言いようのないシステムに見えて、その後の歴史に否定しようの無い傷跡影響を残した迷作名作が有ることを忘れてはならないでしょう。ほぼ不可逆的に狂気へと近づく正気度のルールを入れたクトゥルフの呼び声、主人公の無敵さを表わすヒーローポイントを作ったジェームスボンド007RPG、和製RPGではポピュラーな存在になったシーン制の走りのイット・ケイム・フロム・ザ・レイト・レイト・レイトショウ。後続のRPG作品はそれらから(少なくともその作品においては必要であった)毒を抜いて汎用的な部分だけを取り入れていったわけですが。
既定の背景世界ではなく世界の作成方法と「冒険者グループ」の域に留まらない(軍隊や企業、国家等の)経営(マネージメント)の手段を提供したトラベラーシリーズ。あるいはキャラクター相互の敵対と死亡をもゲームのメカニズムに取り込んだディストピア物のパラノイア(これは本書で既に扱っていますが)。大方のRPGでは排除されてしまった可能性(むしろコンピュータ(ネット)ゲームでより継承されているような)を担い代替のきかない存在になっている物も、普通のRPGではやらない(というかやろうとも思わない)事を扱っているという点でバカRPGと言えるかもしれません。最近の作品では、口プロレスを本気でシステム化したAの魔法陣等もこれらの系譜に連なるものなのかも。
今回のような題材がバカだったり勘違いした異国知識に基づくが故のバカだったりするものを扱ったものばかりでなく、RPGの本流に変革をもたらしたバカRPGや、失われた可能性のバカRPGについてまとめた本を書いてくれると嬉しいです。もちろんこのバカバカ本の筆致のままで。(笑)
参考
- Traveller (Game Designers' Workshop 1977年)
- Call of Cthulhu (Chaosium 1981年)
- James Bond 007 (Victory Games 1983年)
- PARANOIA (West End Games 1984年)
- It Came From the Late, Late, Late Show (Stellar Games 1989年)
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