D.C. ~ダ・カーポ~ #25:壊れゆく心
これは音無の夢? いや、それともさくらの夢か?
分からないの?
祝福だったはずの桜は呪縛になる。首輪が指輪になってもそれはやはり首輪。
夢を得てそれを生きる音無と、夢を失いそれを望むさくら。
その現実を否定する音無と、その現実から逃げ出そうとするさくら。
これが陵辱系エロゲーだったら絶対の存在である主人公がハーレムとして皆を支配してしまえばそれで済む話なのですが、それはそれでアジールへの逃避、ただの棚上げのモラトリアムでしかなく。
『ToHeart』レベルの純愛系学園恋愛ゲームへの批判という性格が『臭作』のような陵辱系ゲームにはあったわけ(もっとも『臭作』は『同級生』に対するセルフパロディーでしょうが)ですが、その後の『D.C.』あたりの世代の恋愛ゲームは純愛系学園恋愛ゲームの範疇を保ったままそれを行おうとしている。
(『ToHeart』のような古典的)恋愛ゲームの描く世界は(小説や漫画やTVドラマのそれと同じく)現実ではありえないファンタジーの世界なわけですが、そのファンタジーを求める心そのものを作品の主題にしている。恋愛における勝者と敗者が共にそのファンタジーの重さに苦しみ押しつぶされてゆく様を丹念に描いている。
これが原作ゲームの時点で既にこうなのか、アニメ化したらこうなったのかは知りませんが。なかなかに野心的な作品に仕上がっていますね。
次回はいよいよ最終回。なんか『最終回』というタイトルの最終回みたいですが、どんな話になるのでしょうか。楽しみ。
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